全年齢同人AVG「幸運の魔女」は、高校時代に文化祭で上演した学年劇の脚本を原作としています。
そこから約二年半が経っており、そして制作には一年以上を費やしています。
シナリオは何度も修正し、登場人物と物語は大きく削ることになりました。
完成したはずのシナリオをプロットから再構成するということがありました。
サークルを設立しての制作を試みましたが、設立当初のメンバーは誰も残っていません。
今作に対しては、モチベーションと名のつく要素が枯れ果ててしまっています。
ではどうして今作を完成させたのか。
それは「制作を始めてしまったから」という一文に集約されます。
投げ出すことで自分が入ってしまう領域から、ただ逃げていただけです。
そのようなひたすらに苦しくて意味に乏しい創作は、今作を最後にします。
高校時代の最も拙い時期から抜け出したこと。
そして、その時期とこれまでの無様さとをこれからの底辺とすること。
このふたつを宣言するために、僕は今作を世に出します。
度重なる再構成を経て、かつてこの物語に込めたものは残っていないのかもしれません。
ただ、もしもどなたかの中にそれが伝われば、今作は僕に懸けられてしまったものよりも
輝かしく美しい意味を得て、世にあることができるようになるのでしょう。
いつか、そう遠くないうちに、今作があなたの与える意味で僕を導いてくれますように…………
2017年10月14日 雪原たかし