TOP > STORIES

NOVELS

想いと意味をこめた物語たちです。

「小説家になろう」のマイページはこちら。

 

 

 

誰よりも軽やかな風

北方大陸の地下に存在する巨大な空間『果ての箱』で生きる少年カームは、ある日ふと見つけた『風の空白』という本を読んで、“空っぽの心を満たそうとやって来る風”の存在を知る。

停滞に満ちる『果ての箱』では感じることのできない風の存在に魅了され、カームは『果ての箱』からの脱出を決意し、そんな願望に満ちるカームを『果ての箱』は残酷に吐き出した。

初めて身体に受けた風が極寒の暴風だったことで、カームは意識を失い――――目を覚ますと、風の無い部屋で流麗な女性に見守られていた。

彼女の名前は、アラシ・ハミル・キトス。 稀代の冒険家にして、『風の空白』の著者その人だった。

意思を持つ風の吹く、科学と感情に満ちた新世界で、物語は旅をたどる――――――――

 

 

絶対球体

高槻佑貴は就職に失敗し、大学進学以来の帰省をすることになった。

父の工務店を継ぐ決心がつかず、春までの猶予を与えられた高槻は、幼なじみである元永優希に強引な約束をさせられて、帰省当日に再会することになる。

そして、元永の職場である公共施設の階段で時間を潰していた高槻は、不意にめまいに襲われ、墜落してしまう。

だが、高槻は――――施設上空に浮かぶ巨大な球体の中に転移していた。

領域内に高槻だけを存在させる球体は、高槻の意思の向く場所へと移動する。

一度は面倒だと思って球体を拒んだ高槻だったが、高槻の思考に根を張る想いが、再び球体を求めさせる。

かつて創り出した距離の絶対と、憧れ。高槻はそれらに囚われたまま、年を越えようとしていた――――――――

 

 

霧の中の記憶

夏休みが明けた日、洲本霧香は人々の記憶から消え、“転校生”となった。

霧香のことを覚えているのは、幼なじみのうちのひとり、芦屋憶人だけだった。 それからも霧香は日ごとに人々の記憶から消え、転校生となるのを繰り返す。

霧香は折れそうになりながらも、いつか誰かの記憶に残ることができると信じて、憶人と共にそんな状況へ抵抗をする。

それまで守り続けてきたものを壊しながら生き抜く時間は、霧香を強くし、美しさを極めさせてゆく。

そばで見守る憶人に、その眩しさで影を引かせながら――――

 

 

3号塔より、弾雨が降る

《虚人》。

それは、“空虚な存在”という意味で名付けられた、人類の脅威。

地球上での版図を失い、軌道上に逃れた人類は、『塔』によってかろうじて地上とのつながりを保っている。

そのひとつ、3号塔には、《虚人》を撃ち砕く弾雨を降らせる者がいた。

圧倒的な能力を持つその者は、3号塔防衛部隊の塔隊長であり、“《虚人》に最も近づける人間”だ。

彼は《虚人》を知り、人間を知ってゆく。そして、かつて投げられた問いの答えを見出す。

だが、答えを見出したのは彼ひとりだけではなかった――――

 

 

特定ジャンルを排して語る『文学』があるそうです

『ボク』は純文学からラノベに転向して成功し、『知人A』は純文学を貫いて成功した。

かつて共に高みを目指し、違う頂を極めた二人が再会したならば――――

 

 

止まれなくても、またそばに

人類が永遠に静止し、『人柱』となる現象。それを『冷酷な春』と呼ぶようになってから、いくらかの時が流れ、あらゆる場所で人柱が立っている世界となった。

そんな世界を、永遠に動き続けることができる体を得た少年と少女が歩き続けていた。

“いつまでも”だからこそ、“いまだけを”生きようとしながら――――

 

 

ふんわり

ふんわりはただひとりのためにふんわりでいて、いつかふんわりじゃなくなる。

 

 

花が咲かないから

ハーブに花はないけれど、ボクはそれでも「花が咲かない」と言おう。

ボクの世界にやってきた君は、生きるための拠り所を求めていた。

君の『異常』に惑わされないボクは、それになれたし、なりたいとも思った。

ボクたちは、世界に根を下ろし、互いを隣に感じていようと決めた。

たとえ世界のすべてから遠ざかろうとも、ボクは君と寄り添い生きようと思う。

君に花が咲かないからこそ、ボクは君を隣に感じる世界を生きてゆけるんだから。

 

 

 

 

 

SCENARIO (GAME)

ノベル系ゲームを制作することもあります。

ご依頼はCONTACTへ。

 

 

幸運の魔女

広大な森のふちに位置する村には、こんな言い伝えがある。

​『森の深奥には、人の幸運を奪う魔女が潜んでいる』

古くから、森の深奥に足を踏み入れた者は恐ろしい幻覚を目の当たりにしてきた。

幻覚に打ち克っても、あまりに密な自然の壁に道を阻まれてしまい、さらには、村に帰れば様々な不幸に襲われた。

今となっては、誰も森の奥へ踏み込まなくなっている。

ところが、そんな森で少女は迷子になってしまう。

深奥へと踏み入ってしまい、幻覚から逃げ惑う少女は古びた小屋を見つけ、中へ入ることにした。

すると、そこにはひとりの――――

 

 

春に生きれば

“冷酷な春”という言葉が生まれた。

すべての人間は永遠に動き続けなければならなくなった。

もし止まってしまえば、永遠に動かない“人柱”となってしまう。

人間は疲労に打ち克てない。ならば、誰もが絶えてしまうはずだった。

だが、そんな世界を、少年と少女が歩き続けていた。

“永遠に動き続けられる身体”を得て、どこまでも続く歩み。

それは、しあわせな不変のように感じられて――――